azukki的. 姉妹猫mao(黒)とmeo(銀)、天国のノア(黒白) 空と花と石と美しいもの。

龍馬伝が終わった。

11月28日、日曜日。

NHK大河ドラマ『龍馬伝』最終回の日でした。

これほど夢中になって観た大河ドラマは初めてでした。




NHK大河ドラマという半世紀にわたって積み上げられてきた伝統を礎としながら、全く新しい顔をしているのが今年の『龍馬伝』でした。
特に映像が大河ドラマとして抜群に新しかった。
ただただ、美しかった。

映画のような質感。
光の表現の多様さ。
天井からの光、格子戸から差し込む光、眩しい光、やわらかな光、行灯の光、ときには月光。
通りに舞い上がる土埃。
雨、雨上がりのぬかるみ。軒から落ちる雫。
長崎の赤。京都の赤。
画面のすみずみまで作りこまれたセット。
人の、モノの、リアルな汚れ具合。
汗ばむ肌にからみつく髪。したたる汗。
メイクと感じさせないメイク。
扮していると感じさせない扮装。
斬新でありながら、もはやその人でしかありえないと思わせるビジュアル。
まるで今そこにいる人のように画面の中でまさに「生きている」登場人物たち。

その新しさ・美しさは、演出の大友啓史氏、そして今回、人物デザイン監修という全く新しいポストとして関わった柘植伊佐夫氏の存在によるところが大きいと思います。

映画のような質感で、奥行きのある映像を撮るプログレッシブカメラの導入。
カット割りをしない、カメラ数台による長時間撮影。
さらに、人物デザインという概念によって作り出された、「すぐ隣にいる人」を見ているようなリアリティー。

それらが、NHKならではの美術の確かさ、キャスティングの絶妙さ、音楽の美しさなどと相まって、『龍馬伝』という奇跡が起こったのでした。





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写真は、11月10日に出版された柘植伊佐夫氏の著書『龍馬デザイン。』
ここには、私が『龍馬伝』に夢中になった理由のほとんどが書かれています。
柘植氏が人物デザイン監修という立場で『龍馬伝』製作にかかわった1年余の日記の形。
日々の仕事の記録であるだけでなく、さまざまな思索の跡、光る言葉に満ちています。
出演者やスタッフとの会話も織りこまれていて、これがまた興味深い。
何度も読み返しつつ、『龍馬伝』の初回からもう一度見直したくなっています。

柘植氏の文章から。

(演出の)大友さんと一致している意見は、僕らはシーンのつながりや論理のつながりを多少裏切るようなことがあったとしても、その瞬間的な絵=シークエンスの中に極度の感情的な爆発力があればそれで観る側は十分感動する、というものである。
(『龍馬デザイン。』より)

「極度の感情的な爆発力」・・・それは官能性と言いかえてもいいのではないか、と思います。
映画やドラマにおいて、私が最も重視するのは、まさに、それ。
一瞬一瞬の映像の「こんなの見たことない!」という未知の驚き、快感。
あるいは連続する一シーンが喚起する感情の高まり。
それこそが映像作品の醍醐味。
『龍馬伝』にはそれが溢れていました。

再び、柘植氏の文章から。

龍馬伝に参加していることの意味。
それは「変革を自ら起こすダイナミズム」である。
そしてそれを成功に導くことである。
その意味は、坂本龍馬ひとりを高めるというだけの概念ではない。
NHK大河ドラマという歴史に、革命を起こすことである。

(『龍馬デザイン。』より)

『龍馬伝』は大河ドラマにおける革命であり、 NHKにおける革命であり、TVドラマそのものにおける革命でもあった、と思います。



さて、夏くらいから、Twitterで『龍馬伝』について呟くことを覚えました。
ハッシュタグ(たとえば#ryomadenのように)をつけて呟くことで、同じ龍馬伝に興味ある人たちの呟きを、さながら掲示板のようにまとめて見ることができます。
Twitter上で感想をやりとりするのは刺激的でした。
ちなみに『龍馬伝』に関する私の呟きは、こちらで見られます。

なお、このブログ中の『龍馬伝』についての記事は、龍馬伝カテゴリとしてまとめてあります。




なお、『龍馬伝』最終回の再放送は 12月4日(土)午後1:05~2:20

総集編は 12月29日(水) 第一部 午後9:00~   第二部 午後10:00~
      12月30日(木) 第三部 午後9:00~   第四部 午後10:00~ 

いずれもNHK総合テレビで放送されます。
まだ観ていない方、興味を持たれた方は、是非。        
Commented by 太郎 at 2010-12-03 18:18 x
今の日本に龍馬のような逸材が出てくれば良いですね。
Commented by azukki_bio at 2010-12-03 20:04
太郎さん 
龍馬伝、奇しくも、現在の日本のありかたを風刺するかのような物語になっていたと思います。
龍馬のような人、切望します。
Commented by こるぷん at 2010-12-03 20:43 x
こんばんは、お邪魔しま~す。
今年の大河は、色んな意味で既成概念をぶち破るドラマでしたね。何をゆっても龍馬と仲間を再構築した素晴らしさ♪
2年前の大河ドラマ主役の発表の時のこの残念感を
見事にひっくり返す、出来でした。大金星☆
これまでのステレオタイプのお決まりの龍馬
(いや、竜馬フリークでないので、知らないんですけどね
これを知らないでよかったわ~と思う。だって純粋見れるから)
それと、土佐の人をはじめ、幕末の人々の生き生きした感じ
それこそ、狙いの「ただのえぇ~あんちゃんが、どうやって
龍馬になっていったか」も含め実に細やかに、大胆に気持ちよく描かれてましたね。
いやはや、50回目を待たずに大河至上に大金字塔を打ち立てました。だから来年、来月見るのがある意味恐いですぅ(ΘϖΘ)
そして申し訳ないけど去年、大失速した天地人と大違いでした。
龍馬伝、多少のツッコミを気持ちよくぶっとばす、いい疾走間でした。
Commented by こるぷん at 2010-12-03 20:57 x
お言葉に甘え・・・字数オーバーの消したものは、
すっぱり諦めるとして(^_^.)

龍馬伝、たしかに現在の日本のありかたを風刺する物語にも
なっておりました。
そして、みんなは龍馬のような人、切望しますが
鳩ちゃんの弟騒動から始まり、政治家から、なんやかや
自称龍馬がわんさか出てきて・片っ端から、
爆弾踏みまくってましたね~^m^あの騒動はどこへ?

それくらい今は、このドラマの素晴らしさで打ち消されてます。
Commented by azukki_bio at 2010-12-04 06:45
こるぷんさん いらっしゃいませ!
お待ちしてました。
ほんと、大金星ですね。
つい、映像のことばかり目がいってしまってましたが、脚本もよかったです。
新しい龍馬像を作る、という目論見は見事に成功していますね。
福山龍馬、おそれを知らない飄々とした感じが脚本で描こうとしている龍馬像にぴったりだったと思います。
映像的にもおはなし的にも新しかった。
「実に細やかに、大胆に気持ちよく」まさにそうですね。
ある意味「いっちゃってる」ドラマだったのでツッコミどころも満載でした。
弥太郎シーンはことごとく、過激で過剰だったし(スライディング正座は忘れられない!)、後藤様はアブノーマルさを醸し出しつつ最後は大化けしたし、中尾長崎勘定奉行はしっかり首巻きしてたし、・・・いや、あげてたらきりがないくらい、すみずみまで楽しめました。
スタッフの方も皆、とことん楽しんで作ってる感じ、「これで、どや!?」と常にぎりぎりの挑戦状を叩きつけてきてる感じ。
きわめつけは、弥太郎の最後のアレ、ですかね(笑)
Commented by azukki_bio at 2010-12-04 06:45
(つづき)
政治が迷走しているぶん、龍馬伝で溜飲を下げた、という面もあります。
ああ~楽しかったです。
毎週毎週、今度は何を見せてくれるのか、と。
今週末からの日曜日の空虚感をどうしてくれよう。
「坂の上の雲」ですかねぇ・・・
来年のドラマは、とりあえずコーンスターチが舞わないみたいですね・・・

ちなみに、龍馬の台詞で一番印象的だったのは、
「誰かにおそれいっちゅうひまはないですき。」
でした。
私ね、ここだけの話、ドラマ見る前は、先入観で福山さんはちょっと苦手だったんですよ(笑)
Commented by こるぷん at 2010-12-04 10:06 x
あず様 
おくり人のモックン、八面六ピの大活躍 狂気すら漂わす照之
どうぞ坂の上の雲をご覧下さいまし
去年の天地人の不完全燃焼を全部吸い取ってくれたドラマです。
龍馬伝を見て・・・その後、多大な犠牲を払ったあと
日本人は何を考えたか?

坂本龍馬の魅力をあますことなく描ききった司馬遼太郎が、
坂の上の雲で何を書きたかったのか・・・・?
(読んでないのに^m^)
実に時代の流れがわかりやすくなっていると思います

Commented by こるぷん at 2010-12-04 10:25 x
来年どうして、コーンスターチが舞わないのか?
それこそ、そうなると3K?の現場に・・・
それもやったらんかい!の女優ド☆根性があるのは天晴れ、乙女ねぇ~やんだけだと思います。
今売れっ子の花形女性の予定を押さえるだけ大変なのに
キャスティング・オーダー出す際、ほこり、舞う?なんですと?
つむじ曲げられるのも困るんでないでしょうか?
そして、大名の話と一番下の身分を描いた話では
自ずと・・・ほこり具合も違うのでは?
統一せず、身分ごとに変えれば、もっと生々しいのですが
だけでなく、カメラ写りや、全体の色のバランスも
あるんでしょうね
そして、そこまで手間をかけるほど予算も・・・ネ(^_-)-☆
さて、私はここだけの話でなく一貫して、にゃんこ口(^人^)、
まちゃが苦手です(^_^.)それは、これからもです。
そんなのを押しのけても1年ひきつけた龍馬伝に改めて凄さを
感じます。配役もよかったですね。
後藤草々が、どんどんお鍾馗様になったのにはちと驚きました。
Commented by ぼっさ at 2010-12-04 20:57 x
あず様、こるぷん様
約1週間前の感動が蘇ってまいりました。観終わった後は放心していましたからねぇ。。。(^^ゞ
そして、このような本があるのですね。是非読んでみたいところです。
なぜこのようにも龍馬伝に魅かれたのかが、あず様の引用で納得することができました。
>その瞬間的な絵=シークエンスの中に極度の感情的な爆発力があればそれで観る側は十分感動する
これに魅了されていたんですね。。。
私も福山(&キムタク)系はなんとなく苦手です(今でも)。でもすべてのキャスティング。素晴らしかったですね。個人的にはやはり高杉晋作本命、後藤様アナでしょうか(笑)。弥太郎はアブノーマル過ぎてむしろ笑いを誘ってしまいました(爆笑)。香川さんは大好きな俳優のお1人ですが、ご本人も「岩崎さん汚してごめんなさい」って謝っていましたね^^ 
お江戸には岩崎弥太郎に因む公園が本当に多くあります。どうぞまたお江戸にお越し下さいませね。ご案内させて下さいまし♪
龍馬が終わってしまって、また一段とTVが遠のく~(っていうかゼロになるか?)
Commented by azukki_bio at 2010-12-05 08:13
こるぷんさん 
確かに、次回は綺麗なおべべ着たガールズのお話ですね。
コーンスターチまみれ泥まみれ汗まみれになる必要はないかも。
製作陣は一新されるのかしら。
せっかく革命起こしたのに、また元の伝統的な大河路線に戻っちゃうのかしら・・・

後藤様。お鍾馗様(笑)
私には虎そのものに見えてました。
龍VS虎。タイガー&ドラゴン。
Commented by azukki_bio at 2010-12-05 08:35
ぼっさちゃん 
あなたも龍馬伝とともに生きた1年だったのでしょうか。
「龍馬デザイン。」はおすすめです。
もう一度、深く、濃く、龍馬伝が楽しめますよ。

キャスティングは見事でしたね。
暗殺組の3人まで、あっと驚く、でもこれ以外にはありえない、と思うハマリ具合でした。
私も本命高杉さん、あとは東洋様、容堂公、小曽根さま・・・てとこでしょうか。
あれ?この路線は・・・(笑)
弥太郎に関してはもう、エンタテイメントに徹している感じがしましたね。
とことんツッコミを期待してるかのような。
笑ってあげるのが正しい見方だと思います(笑)
第四部のアバンで出てきた岩崎邸が気になります。
ああ、東京。行きたいよう・・・
by azukki_bio | 2010-12-03 18:02 | 龍馬伝 | Comments(11)